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5軸加工の特徴とは?CAMのおすすめ製品と2種類の加工方法

最終更新日:2024.10.21 / 公開日:2024.07.26

5軸加工とは、従来のX軸・Y軸・Z軸の直線軸に、回転軸と傾斜軸の2軸を追加した機械(加工機)で加工することをいいます。

複雑な工作物を制作したい場合、加工軸が少ない工作機械だと、頻繁に部材の固定角度を変える必要があり、できあがりの工作物の精度に影響を与える恐れがあります。複雑な工作物において高精度を維持したい場合は、5軸加工が必要不可欠です。

ここでは、5軸加工の基礎知識や、5軸加工におけるメリット、そして5軸加工の種類と併せて、5軸加工に対応しているおすすめのCAMについて、ご紹介いたします。

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5軸加工とは?

5軸加工の特徴

一般的に工作機械の分野では、X軸・Y軸・Z軸の3軸を使った3次元加工が主流となっていました。もともとは、穴あけなどの1軸加工から始まり、平面での2軸加工を経て進化してきたのです。5軸加工では、X軸・Y軸・Z軸の直線軸に回転軸と傾斜軸の2軸を追加した機械(加工機)で加工することをいいます。

5軸加工においては、この回転軸と傾斜軸がキーポイントです。この2軸の使い方によって2種類の加工方法に分類されます。従来のX軸・Y軸・Z軸の3軸のみの加工と比較して、5軸加工ではより柔軟な加工ができるため、多くの分野で注目され、実際に導入が進んでいます。

3軸加工機と5軸加工機の違い

改めて、3軸加工機と5軸加工機の違いを整理してみましょう。

基本的な構造と動作の違い

3軸加工機は、X軸、Y軸、Z軸の3つの軸を使って工作物を加工します。これに対し、5軸加工機は、X軸、Y軸、Z軸に加えて、回転軸のA軸とBまたはC軸が追加されます。

この追加された2つの回転軸により、工作物の位置を自在に変えながら加工が可能となり、より複雑な形状の加工が可能です。具体的には、工具がさまざまな角度から工作物にアプローチできるため、従来の3軸加工では困難だった曲面や斜面の加工が容易に行えます。

加工の自由度と精度

3軸加工機では、工作物の各面を加工するために、工作物自体を手動で再セットアップする必要があります。このプロセスは時間がかかり、再セットアップのたびに微小な位置ズレが生じる可能性があり、加工精度に影響を与えることがあります。

一方、5軸加工機では、一度のセットアップで多面的な加工が可能なため、再セットアップによる誤差を最小限に抑え、高い精度を維持することができます。このため、部品の精密さが求められる航空機や医療機器などの製造において、5軸加工機は非常に重要です。

作業効率と生産性

3軸加工機では、複数のセットアップと工具交換が必要であるため、作業時間が長くなる傾向があります。特に複雑な形状の部品を製造する際には、加工工程が増え、手間がかかります。

これに対し、5軸加工機は、一度のセットアップで多面的な加工を行えるため、作業効率が大幅に向上します。その結果、生産サイクルが短縮され、全体の生産性が向上します。具体的な例として、自動車のエンジン部品や航空機のタービンブレードなど、複雑な形状が必要な部品の大量生産において、その効果は顕著です。

5軸加工の特徴

5軸加工には、主に次のような特徴があります。

複雑な形状の加工が可能

5軸加工は、複雑な形状の加工が可能な点が最大の特徴です。通常の3軸加工機では難しい、複雑な形状や曲面加工が容易に行えます。このため、製品のデザイン自由度が飛躍的に向上し、より高度な機械加工が可能となります。

高い精度と品質の向上

5軸加工機は、部材の位置を一度設定するだけで、多角度からの加工が可能です。このため、部材の再セットアップによる誤差を最小限に抑えることができ、高精度な加工を実現します。また、工具の最適な角度を維持することで、工具の寿命が延びるとともに、加工面の品質も向上します。

作業時間の短縮と効率化

5軸加工機は、一度のセットアップで多面的な加工を行うため、作業時間の大幅な短縮が可能です。従来の加工方法では複数回のセットアップと加工が必要でしたが、5軸加工機ではそれを一回で完了させることができます。この結果、生産効率が大幅に向上し、コスト削減にもつながります。

多様な材料への対応

5軸加工機は、金属、プラスチック、木材など、さまざまな材料に対応可能です。特に、航空宇宙や自動車産業では、軽量かつ高強度の材料が求められるため、5軸加工機の導入が進んでいます。このため、より軽量で高性能な製品の製造が可能となります。

自動化とデジタル化の推進

近年の5軸加工機は、CAMソフトウェアと連携することで、加工プログラムの自動生成が可能です。これにより、従来の手作業によるプログラム作成の手間を省き、加工の自動化とデジタル化を推進します。特に、Autodesk Fusion(Fusion360)などのCAMソフトウェアは、使いやすさと高機能を兼ね備えた製品として、幅広い業界で利用されています。

5軸加工のメリット

上記の「特徴」と重複する部分もありますが、5軸加工の主なメリットは、以下の3点です。

加工時間を短縮できる

加工軸が少ないと、一度に作成できる加工機データは限られてしまいます。そのため、工程を細かく分解して、定期的に部材の角度を変えながら加工していく必要があるのです。工程ごとのツールパスが必要となり、それに合わせてNCデータも増えていきます。問題やトラブルが引き起こされる原因となる上に、全ての工程を終わらせるためには、かなり時間がかかってしまうでしょう。5軸加工で、1回の段取りで多くの部分を加工することができるので、作業を高速化させて短時間で目的の形状を作り上げることが可能です。

周速ゼロ点を回避できる

ボールエンドミル加工などを行う場合、3軸加工では工具先端の周速ゼロ点で加工されてしまいます。面粗度や加工精度が悪くなる要因の一つでありますが、5軸加工ではボールエンドミルを傾斜させることが可能なため、周速の高い部分で加工することができるでしょう。

加工コストの削減が期待できる

さまざまな角度で切削などを容易にすることができるので、3軸加工で必要だった特殊工具や専用治具を使用する必要性がなくなります。余計な工具を購入せずに済むため、加工コストを削減することが期待できるでしょう。

5軸加工の種類

割り出し5軸加工

割り出し5軸加工とは、加工の際にはX軸・Y軸・Z軸の3軸だけ稼働させて、回転軸と傾斜軸の2軸は、加工前に任意の角度でテーブルや台を操作・回転させて、固定して加工を開始させる加工方法をいいます。

工作機械設備の一つであるマシニングセンタが導入された当初より行われてきた加工方法であり、ワンチャッキングでさまざまな方向から加工をすることができるため、これまでの3次元加工に比べて、格段に段取り替えの工数の削減を実現しました。割り出し5軸加工では、工数削減だけではなく、非常に高精度な仕上げ加工や部品加工ができるということでも評判が高いです。さらに、剛性も高いことから現在においても多くの需要があります。

同時5軸加工

割り出し5軸加工では、X軸・Y軸・Z軸の3軸だけ稼働させて、残りの回転軸と傾斜軸は、任意で回転させて使うのですが、同時5軸加工は、X軸・Y軸・Z軸・回転軸・傾斜軸を同時に動かす加工法となっています。事由に工具の角度を変えることができるので、3次元(3D)局面加工などでも重宝するでしょう。特に、正面から見た時に書こう面が隠れるような形状の製品を加工したい場合でも、同時5軸加工であれば、加工作業を自動で簡単に行うことが可能です。工具の干渉を効率よく回避しながら、継ぎ目の少ない加工を実現できるというメリットがあります。

5軸加工に対応しているフアクトのおすすめCAM

フアクトでは、5軸加工に対応しているCAMソフトとして、「FeatureCAM」をおすすめしています。FeatureCAMの主な製品仕様は次の通りです。

製品名:FeatureCAM

機能・特徴:Premiumで位置決め5軸、Ultimateで同時5軸加工が設定することが可能です。FeatureCAMでは、2次元や3次元加工と同じ感覚で5軸の加工を作成できるでしょう。位置決め5軸では、加工方向を設定するだけで後は同じ流れで作成できます。同時5軸においては、5軸の設定項目が1ヵ所増えるだけで、後は位置決め5軸加工と同じ流れで作成可能です。

FeatureCAMでは、CAD機能や干渉チェック機能もあるので、複雑な作業を極力抑えて簡単に加工データを作成することができます。メーカーサポートも充実しているので、採用を検討してみてはいかがでしょうか。

5軸加工対応のCAMで効率のよい生産を実現

5軸加工は、これまでの3軸に加えて、回転軸と傾斜軸が操作できるようにあります。そのため、3軸加工に比べてより柔軟に高精度な加工物を制作することができるようになるでしょう。5軸加工を行うためには、5軸加工に対応したCAMを使用する必要があります。今回おすすめしたFeatureCAMは、割り出し5軸加工、同時5軸加工の両方に対応させることができるので、導入することで5軸加工を実現させられるでしょう。

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